「同じChatGPTを使っているのに、なんであの人はあんなにうまく使えるんだろう」
そう感じたことはありませんか?
実は、AIへの指示力(プロンプト力)には明確な差があります。そして3年間SIerでエンジニアをやってきた私が気づいたのは、その差の正体が「テクニック」ではなく、もっと根本的なところにあるということです。
この記事では、AIへの指示がうまい人とへたな人の違いを、現場目線で具体的に分解していきます。
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同じAIを使っているのに、なぜ差が出るのか
チームで生成AIを使い始めたとき、面白いことが起きました。同じツールを使っているのに、メンバーによってアウトプットの質がまったく違ったんです。
AさんはAIに「資料作って」と入力して「なんか使えない」とぼやく。Bさんは同じAIに少し違う入力をして、すぐに実務で使えるアウトプットを出してくる。
この差は「AIの使い方に慣れているかどうか」だと思っていました。でも、よく観察すると、もっと根本的な違いがありました。
BさんはAIに話しかける前に、すでに自分の中で「何を作りたいか」が整理されていたんです。
「へたな指示」には3つのパターンがある
現場で見てきた「うまくいかない指示」には、共通するパターンがあります。
パターン1:丸投げ型
「ログイン機能を作って」 「売上レポートを作って」 「このバグを直して」
情報が少なすぎて、AIは「それっぽい何か」しか返せません。AIは読心術が使えないので、「ログイン機能」と言われても、どんな認証方式で、どんな要件で、どんな技術スタックかがわからなければ、汎用的なサンプルを出すことしかできません。
パターン2:感覚語頼み型
「いい感じにして」 「もっとわかりやすく」 「なんかおかしいから直して」
「いい感じ」はAIには伝わりません。人間同士なら文脈や関係性で補完できますが、AIには「いい感じ」の定義を言語化して渡す必要があります。
パターン3:エラーコピペ丸投げ型
「エラーが出ました。[エラーをそのままペースト]」
これでも解決できることはありますが、単純なケースだけです。「なぜそのエラーが出ているのか」「どういう文脈で起きているのか」の情報がなければ、AIは的外れな回答をすることがあります。
「うまい指示」も、実はパターンがある
では、AIをうまく使っている人はどんな指示を出しているのか。共通しているのは**「条件・背景・制約」の3点セット**です。
ビフォー(へたな指示)
「ログイン機能を作って」
アフター(うまい指示)
「PythonとFastAPIを使って、JWTベースのログイン認証を実装したい。アクセストークンの有効期限は1時間で、リフレッシュトークンも必要。ユーザー情報はPostgreSQLに保存している。セキュリティ上の注意点も合わせて教えてほしい。」
この2つの指示に対するAIの返答は、まったく別物になります。
うまい指示には必ず、①何を作るか(目的)、②どんな条件・制約があるか、③何を考慮してほしいかが含まれています。
うまい人が自然にやっている「分解する習慣」
ここが核心です。
AIへの指示がうまい人を観察すると、ある共通の習慣があります。指示を出す前に、頭の中でやりたいことを分解しているんです。
「ログイン機能を作りたい」を例にすると、分解するとこうなります。
- どんな認証方式を使うのか(JWT? セッション?)
- トークンの有効期限はどうするか
- リフレッシュトークンは必要か
- どのフレームワークで実装するか
- セキュリティ上の考慮事項は何か
この分解ができている人は、自然と情報量の多い指示が出せます。逆に分解できていない人は、「ログイン機能を作って」で止まってしまう。
プロンプト力の正体は、「問題を構造化する力」だと私は思っています。
その力はどこから来るか──答えはプログラミングの基礎知識
では、「問題を構造化する力」はどうすれば身につくのか。
ここが、多くのプロンプト解説記事では語られない部分です。
実は、AIへの指示がうまい人の多くは、プログラミングの基礎知識を持っています。コードをすらすら書けるレベルである必要はありません。ただ、プログラムがどういう仕組みで動くかを知っているかどうかで、指示の質が大きく変わります。
例えば「認証機能を作りたい」という場面。
プログラミングの知識がない人は「ログインできるようにして」で止まります。でも基礎知識がある人は「JWTとセッション認証はどっちがいいか」「トークンはどこに保存するか」「有効期限はどう設定するか」という論点が頭に浮かびます。この論点を整理したものが、そのまま良いプロンプトになるんです。
プログラミングを学ぶことは、コードを書く練習であると同時に、**「問題を構造に分解する訓練」**でもあります。その訓練が、AIへの指示力に直結しています。
今日からできる、指示力を上げる練習法
「じゃあプログラミングを1から勉強しないといけないの?」と思った方、そこまでしなくて大丈夫です。まず今すぐできることをお伝えします。
① AIに出す前に、5W1Hで整理する
指示を出す前に、こう自問してみてください。
- What:何を作りたいのか
- Why:なぜ作るのか(目的)
- How:どんな方法・技術を使うのか
- Who:誰が使うのか
- When / Where:どんな環境で動くのか
この5W1Hを埋めてから指示すると、アウトプットの質が大きく変わります。
② 「なぜ?」を1回多く考える
「ログイン機能を作りたい」と思ったら、一度「なぜそのログイン機能が必要か」を考えてみます。すると「不特定多数のユーザーが使うから、セキュリティが重要」「モバイルアプリからも使うから、トークン認証が向いている」という条件が出てきます。これをそのまま指示に加えるだけで精度が上がります。
③ AIの返答を「なぜ?」で深掘りする
AIが答えを出してくれたとき、「なぜその方法を選んだのか?」と追加で聞く習慣をつけます。代替案や注意点も一緒に出てくるので、理解が深まると同時に、次回の指示品質も上がります。
まとめ
AIへの指示がうまい人とへたな人の差は、テクニックではありません。**やりたいことを構造化して言語化できるかどうか、**その一点です。
そしてその力は、プロンプトの書き方を覚えることよりも、問題を分解する習慣を身につけることで育ちます。
プログラミングの基礎知識は、その習慣を最も効率よく鍛える手段のひとつです。「AIがあるからコードは不要」ではなく、「AIを使いこなすためにこそ、コードの基礎が役に立つ」──そういう時代になっていると、現場で日々実感しています。
この考え方について、もう少し詳しく書いた記事もあります。よければ合わせて読んでみてください。



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[…] 👉 なぜプログラミングの知識がAI活用に直結するのかは、こちらの記事で詳しく書いています。 AIへの指示が「うまい人」と「へたな人」の差はどこにある? […]